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排水管の詰まりは誰が払う?|下水道法は「修繕は所有者・清掃は占有者」と分けている

公開 2026-09-05|更新 2026-09-07|修繕ナビ編集部

排水管が詰まったとき、直し方を調べる前に決まってしまうことがあります。その費用を誰が払うのかです。賃貸なら大家か入居者か、持ち家なら自分か自治体か。

ここは感覚で決める話ではなく、下水道法の第十条に区分が書かれています。しかも「修繕」と「清掃」で負担者が入れ替わります。条文を読んでから業者を呼んでください。

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宅地の中の排水管は、自治体の設備ではありません

下水道法 第十条第1項は、こう定めています。

「公共下水道の供用が開始された場合においては、当該公共下水道の排水区域内の土地の所有者、使用者又は占有者は、遅滞なく、次の区分に従つて、その土地の下水を公共下水道に流入させるために必要な排水管、排水渠その他の排水施設(以下「排水設備」という。)を設置しなければならない」

この「排水設備」が、宅地の中の排水管のことです。公共下水道につなぐための設備は、自分で設置する義務がある。つまり自治体の持ち物ではなく、自分の設備です。詰まっても自治体が直してくれる対象ではありません。

誰が設置すべきかも、同じ条文に区分があります。

土地の種類設置すべき者
建築物の敷地である土地当該建築物の所有者
建築物の敷地でない土地当該土地の所有者
道路その他の公共施設の敷地当該公共施設を管理すべき者

家が建っている土地では「土地の所有者」ではなく「建築物の所有者」と書かれている点に注意してください。借地に自分の家を建てている場合、義務者は家の持ち主です。

出典:民法(e-Gov法令検索)(2026-09-07 確認)

出典:下水道法 第十条第1項(2026-09-05 確認)

「修繕」と「清掃」で、負担者が入れ替わります

ここが今日いちばん覚えて帰ってほしいところです。第十条第2項はこう分けています。

「前項の規定により設置された排水設備の改築又は修繕は、同項の規定によりこれを設置すべき者が行うものとし、その清掃その他の維持は、当該土地の占有者が行うものとする」

整理するとこうなります。

作業の性質行う(負担する)のは賃貸だと
改築・修繕
配管の交換、勾配の直し、破損の補修
設置すべき者=建築物の所有者大家側
清掃その他の維持
詰まりの除去、高圧洗浄、ますの清掃
土地の占有者入居者側

だから「詰まりを取れば直る」のか「配管そのものを直さないと再発する」のかで、払う人が変わります。これは業者の見立てひとつで負担者が動くということでもあります。

賃貸で詰まったときに揉めるのは、たいていこの切り分けが曖昧なまま作業が終わっているからです。作業前に「これは清掃で直りますか、修繕が要りますか」と聞いて、その答えを書面か記録に残してください。原因が配管の破損や勾配不良なら修繕にあたり、所有者側の話になります。

なお、この区分は法律が定める原則です。賃貸借契約で別の取り決めをしている場合があるので、契約書の修繕負担の条項もあわせて確認してください。

出典:下水道法 第十条第2項(2026-09-05 確認)

隣の家の排水設備を使っている場合

古い住宅地では、自分の敷地から直接つなげず、他人の土地や他人の排水設備を通していることがあります。この場合の扱いも第十一条に書かれています。

「前条第一項の規定により排水設備を設置しなければならない者は、他人の土地又は排水設備を使用しなければ下水を公共下水道に流入させることが困難であるときは、他人の土地に排水設備を設置し、又は他人の設置した排水設備を使用することができる」。ただし「他人の土地又は排水設備にとつて最も損害の少い場所又は箇所及び方法を選ばなければならない」という条件がついています。

そして費用の分担も定めがあります。「前項の規定により他人の排水設備を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて、その設置、改築、修繕及び維持に要する費用を負担しなければならない」(第十一条第2項)。

共同で使っている排水管が詰まった場合、費用は「利益を受ける割合に応じて」分担するのが法律上の原則です。早く気づいた家が全額を出す、という話ではありません。工事の前に、どの範囲を何軒で使っているかを確認してください。

出典:下水道法 第十一条(2026-09-05 確認)

呼ぶ前に確認しておくこと

作業費の相場は、公的機関が公表している資料を確認できなかったためこの記事では金額を書きません。代わりに、負担者を確定させるための手順を挙げます。

トイレ側が原因の場合はトイレのつまり修理の費用に、器具側の切り分けをまとめています。

この記事で確認できなかったこと

高圧洗浄や詰まり除去の作業費の相場は書いていません。公的機関が公表している金額を確認できなかったためです。

公共下水道と宅内排水設備の境目が具体的にどこになるかは、自治体によって扱いが異なります。公共ますの所有区分も自治体ごとに違うため、ここでは一般化していません。下水道担当課でご確認ください。

浄化槽を使っている地域は下水道法ではなく浄化槽法の話になるため、この記事では扱っていません。

直す義務と、借主が自分で直せる場合

排水管のつまりは、建物側の問題か使い方の問題かで負担が変わります。民法に順序が書かれています。

第606条第1項は「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」としたうえで、「賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない」と例外を置いています。共用の縦管や経年の詰まりは前者、油や異物を流した結果なら後者に寄ります。

連絡しても動いてもらえない場合の規定もあります。第607条の2は、「賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき」または「急迫の事情があるとき」は「賃借人は、その修繕をすることができる」としています。先に通知するのが要件です。連絡した日時と相手を記録に残してから手配してください。この条文は2020年4月1日施行の改正で新設されました。

下水道法は「修繕」と「清掃」で担い手を分けている

誰が費用を持つかの手がかりは、下水道法第10条にあります。同条第1項は、公共下水道の排水区域内で「その土地の下水を公共下水道に流入させるために必要な排水管、排水渠」等の排水設備を設置すべき者を定めていて、「建築物の敷地である土地にあつては、当該建築物の所有者」としています。

そして第2項が、負担の分かれ目そのものです。

前項の規定により設置された排水設備の改築又は修繕は、同項の規定によりこれを設置すべき者が行うものとし、その清掃その他の維持は、当該土地の占有者が行うものとする。

改築・修繕は所有者、清掃その他の維持は占有者。賃貸なら占有者は借主です。つまり配管が壊れた・劣化したという話なら所有者側、詰まりを取り除くという話なら借主側に寄る、という切り分けになります。見積書に「高圧洗浄」とあるのか「配管交換」とあるのかで、この条文のどちら側の話かが変わります。管理会社と話すときは、作業の名前を確認してから連絡してください。

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まとめ

宅地の中の排水管は「排水設備」として自分で設置する義務がある設備で、自治体のものではありません。家が建っている土地では、義務者は土地の所有者ではなく建築物の所有者です。

そして下水道法 第十条第2項が改築・修繕は所有者、清掃その他の維持は占有者と分けています。賃貸なら、詰まりを取るだけなら入居者側、配管を直す必要があるなら大家側が原則になります。

だから作業前に聞くべきことは金額ではなく、「これは清掃ですか、修繕ですか」です。その答えが、誰が払うかを決めます。

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