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FIG.211 — リフォーム全般

家の解体は80㎡以上で届出が義務|届け出るのは業者ではなく発注者です

公開 2026-09-05|更新 2026-09-19|修繕ナビ編集部

家の解体を考えるとき、先に費用を調べたくなります。ただ見積もりを取る前に確かめておくことがあります。一定の規模を超える解体工事では、都道府県知事への届出が「発注者」の義務と法律で決まっています。業者ではなく、頼む側の義務です。

知らずに業者任せにしていると、自分の名前で出すべき届出が出ていない状態になりかねません。まずそこを条文で確認します。

基準は「床面積80平方メートル」

この届出が必要になるのは、建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)でいう対象建設工事にあたる場合です。その規模の線引きは施行令 第二条に書かれています。

工事の種類この規模以上が対象
建築物の解体工事床面積の合計 80平方メートル
建築物の新築・増築床面積の合計 500平方メートル
その他の新築工事等請負代金の額 1億円
建築物以外の解体・新築工事等請負代金の額 500万円

80平方メートルは、おおよそ24坪です。一般的な戸建てはこれを超えることが多く、普通の家を1軒解体するなら、まず対象になると考えたほうが実際に近いということになります。

そして分けても逃げられません。施行令 第二条の第2項は「解体工事又は新築工事等を同一の者が二以上の契約に分割して請け負う場合においては、これを一の契約で請け負ったものとみなして、前項に規定する基準を適用する」と定めています。ただし書きで「正当な理由に基づいて契約を分割したとき」は除かれますが、基準を下回らせるために分けるのは、その正当な理由には当たりません。

出典:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律施行令 第二条(2026-09-05確認)

届け出るのは業者ではなく「発注者」

ここがいちばん誤解されるところです。法 第十条はこう書いています。

「対象建設工事の発注者又は自主施工者は、工事に着手する日の七日前までに、主務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない」

届け出る中身は次のとおりです。

期限は「工事に着手する日の七日前まで」です。契約を急いで着工日を早めると、この7日が確保できなくなります。見積もりの段階で着工日と届出日の関係を確認しておいてください。実務では業者が書類を用意して代行することが多いのですが、法律上の義務者は発注者のままです。

いっぽう分別解体そのものは業者側の義務です。法 第九条は「対象建設工事受注者…又はこれを請負契約によらないで自ら施工する者は、正当な理由がある場合を除き、分別解体等をしなければならない」としています。届出は発注者、分別解体は受注者。義務の持ち主が別です。

出典:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律 第九条・第十条(2026-09-05確認)

業者には「書面で説明する義務」がある

発注者に届出義務があるといっても、素人が構造や資材の量を自分で書けるわけではありません。そこは法律が業者側に説明義務を課しています。

法 第十二条は「対象建設工事…を発注しようとする者から直接当該工事を請け負おうとする建設業を営む者は、当該発注しようとする者に対し、少なくとも第十条第一項第一号から第五号までに掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない」と定めています。

つまり契約前に、届出に書く内容を書面でもらえます。これは口頭の説明ではなく書面の交付です。この書面が出てこない業者は、法律上の手順を踏んでいません。相見積もりを取るときの、分かりやすい判定材料になります。

出典:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律 第十二条(2026-09-05確認)

解体業者が登録済みかは、誰でも確認できる

解体工事業を営むには都道府県知事の登録が要ります。そして法 第二十六条は「都道府県知事は、解体工事業者登録簿を一般の閲覧に供しなければならない」と定めています。

登録簿は一般に公開されているので、見積もりを取った業者が登録されているかを自分で確かめられます。都道府県の担当課に問い合わせるか、各都道府県が公開している一覧で確認してください。なお建設業許可(土木工事業・建築工事業・解体工事業)を持っている場合はこの登録が不要になる仕組みがあるので、どちらで営業しているかを聞くのが早い場合もあります。

出典:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律 第二十六条(2026-09-05確認)

届出以外に発注者側で要る手続き

建設リサイクル法の届出以外にも、発注者自身が動く手続きが残ります。

建物滅失登記

不動産登記法は、建物が滅失したとき表題部所有者または所有権の登記名義人が、滅失の日から1か月以内に滅失の登記を申請しなければならないと定めています(不動産登記法 第五十七条)。義務者は所有者側で、業者からもらう取壊し証明書などを使って申請するか、土地家屋調査士に依頼します。

ライフラインの停止連絡

電気・ガス・水道は事業者への解体前の連絡が要ります。水道は散水のため工事中も使うことが多いので、止める時期を業者と相談します。

近隣への挨拶

法律上の義務ではありませんが、振動・粉じん・騒音を伴うため、挨拶を誰が行うかを契約前に決めておくと行き違いが起きません。

アスベストの事前調査

解体前には、大気汚染防止法および石綿障害予防規則に基づく石綿(アスベスト)の事前調査が必要です。調査を行う義務は元請業者にあります。2022年4月以降は、床面積の合計が80平方メートル以上の解体工事について、調査結果を都道府県等へ電子システムで報告することが義務づけられ、2023年10月以降は有資格者(建築物石綿含有建材調査者等)が調査を行うことになっています。

アスベストが見つかると除去などの飛散防止措置が別途必要になり、工程が変わります。具体的な金額は公的な資料を確認できなかったため書きません。

費用を左右する要因

坪単価や総額の相場は公的資料を確認できなかったため書きませんが、見積もりが会社によって変わる要因を挙げます。

要因費用が上がりやすい方向
建物の構造木造より鉄骨造、鉄骨造より鉄筋コンクリート造のほうが手間がかかる
前面道路・重機の入りやすさ道路が狭いと大型重機が使えず手作業が増える
隣家との距離隣地との間隔が狭いと養生や手壊しの範囲が広がる
残置物家財道具などが残っていると撤去・処分が別途必要になる
地中埋設物浄化槽や旧基礎などが出てくると追加作業になる
樹木・塀などの付帯物庭木、ブロック塀、カーポートも撤去の対象になる

注意したい業者の見方

解体工事は終わると現地の状態を確認しづらく、契約段階での確認が重要になります。法律上の義務を基準に見ておきたい点です。

よくある質問

届出を出さないとどうなりますか。

建設リサイクル法第十条の届出をしなかった場合、同法第五十一条により20万円以下の罰金の対象になり得ます。業者に代行してもらっていても、義務者は発注者のままです。

出典:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律 第五十一条(2026-09-19確認)

床面積が80平方メートル未満なら何もしなくていいですか。

建設リサイクル法の届出は不要になりますが、建物滅失登記や石綿の事前調査など別に必要な手続きは残ります。

届出後に着工日が変わったらどうしますか。

届け出た事項に変更が生じた場合は、変更の届出が必要です(法第十条第2項)。業者と相談し、どちらが手続きするかを決めておきます。

見積書で見るところ

解体費用の坪単価は、公的機関が公表している資料を確認できなかったためこの記事では金額を書きません。代わりに、複数社を同じ土俵で比べるための確認項目を挙げます。

この記事で確認できなかったこと

解体費用の相場・坪単価は書いていません。公的機関が公表している金額を確認できなかったためです。構造、立地、道路付け、残置物の量で大きく変わるため、定価表の数字がそのまま当てはまりません。

自治体による解体の補助金については、制度が市区町村ごとに異なり、ここで一般化できる形の資料を確認できなかったため扱っていません。お住まいの自治体の窓口でご確認ください。

都道府県が条例で独自の規模基準を定めている場合があります(法第九条第4項)。該当地域では80平方メートルより厳しい基準になっている可能性があるので、都道府県の担当課で確認してください。

まとめ

床面積の合計が80平方メートル以上の解体工事は建設リサイクル法の対象建設工事にあたり、着工の7日前までに都道府県知事へ届け出る義務が「発注者」にあります。分別解体を行う義務は受注者側で、義務の持ち主が分かれています。

契約を分割して基準を下回らせることはできません。施行令は分割された契約を一の契約とみなすと定めています。

そして業者には、届出に書く内容を契約前に書面で説明する義務があり、解体工事業者の登録簿は一般に公開されています。金額を比べる前に、この2つを確かめてください。書面が出てくるか、登録があるか。それだけで選べる範囲がかなり絞れます。

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※ 記載の費用はいずれも目安です。建物の状態・地域・時期により変動するため、正確な金額は必ず複数社の見積もりで確認してください。