バリアフリーリフォームの費用と補助金2026|介護保険・手すり・段差解消の相場
加齢や介護に備えたバリアフリーリフォームは、介護保険や自治体の補助金を使えば自己負担を大きく減らせるのが特徴です。手すり1本の設置から浴室・トイレの全面改修まで幅広く、費用は公表されている相場で示します(下の表)。この記事では、工事内容別の費用と、介護保険をはじめ使える制度、申請の流れを整理します。制度を正しく使うことが、賢く安全な住まいづくりの近道です。
費用は依頼先で大きく変わります。相場の確認は、無料でできる複数社見積もりの比較が近道です。
無料でまとめて見積もり ▶工事内容別の費用の目安
バリアフリー工事は内容によって費用が大きく異なります。下は代表的な工事の目安です。
| 工事内容 | 公表されている相場 |
|---|---|
| 手すりの設置(1m以内の直線型) | 1本 8,000〜9,000円 |
| 手すりの設置(1辺1m以内のL型) | 1本 10,000〜12,000円 |
| 引き戸に変更 | 1箇所 100,000〜150,000円 |
| トイレのバリアフリー改修 | 1箇所 290,000〜300,000円 |
| お風呂のバリアフリー改修 | 1箇所 800,000〜840,000円 |
| (参考)バリアフリーリフォーム全体の中心価格帯 | 400〜500万円(400件の集計) 複数箇所をまとめて行った事例を含む集計です |
| 段差解消(スロープ・敷居撤去)/滑りにくい床材への変更 | 相場を公表している集計は確認できませんでした |
手すりは1本8,000円台から始まります。「バリアフリー=大工事」と身構える必要はありません。転倒しやすい場所に1本ずつ足していくやり方が、いちばん実行しやすいということが、この数字から分かります。
逆に、お風呂の改修は800,000円台で、トイレ(290,000円台)の3倍近くになります。優先順位を付けるなら、まず手すり、次に引き戸、大きい工事は制度と予算を確かめてからという順番になります。
出典:くらしのマーケット「バリアフリーリフォーム」「手すり取り付け」の各「相場」/ホームプロ「バリアフリーリフォーム費用相場」の「中心価格帯」(データ400件の集計)。いずれも2026年9月4日確認。
浴室・トイレの改修はお風呂リフォームやトイレリフォームもあわせて確認できます。
費用が変動する主な要因
同じ「浴室のバリアフリー改修」でも、現場の状況によって費用の目安は大きく上下します。見積もりを比較する前に、どの要因が効いているのかを把握しておくと判断しやすくなります。
| 変動要因 | 費用への影響の目安 |
|---|---|
| 施工範囲(1か所のみ/複数箇所まとめて) | まとめて発注すると1か所あたりの単価が下がる傾向 |
| 建物の構造(木造/鉄骨・RC造) | RC造は壁の補強や配管ルート変更が必要になることがある |
| 既存設備の老朽化・配管の劣化 | 給排水管の引き直しが必要になると上乗せ |
| 下地の補強(手すり設置時の壁強度不足など) | 手すりを付けたい場所に下地が入っているかで変わる。見積もり時に必ず確認される項目 |
| 段差の大きさ・床の傾斜 | 大きな段差の解消や床の水平調整が入ると上乗せ |
特に築30年を超える住宅では、配管や床下地が劣化しているケースが多く、表面上の工事より費用がかさむことがあります。現地調査を丁寧に行う業者を選ぶと、着工後の追加費用リスクを減らせます。
介護保険とは別に、国の補助がもう1つあります
介護保険の住宅改修費とは別に、みらいエコ住宅2026事業にもバリアフリー改修の枠があります。断熱改修とセットで行うことが前提の制度ですが、断熱工事も一緒に考えているなら上乗せできます。
| 対象工事 | 補助額 |
|---|---|
| 手すりの設置 | 7,200円/戸 |
| 段差解消 | 8,400円/戸 |
| 廊下幅等の拡張 | 33,600円/戸 |
| 衝撃緩和畳の設置 | 25,200円/戸 |
出典: 国土交通省 みらいエコ住宅2026事業「バリアフリー改修【リフォーム】」(2026年9月4日に公式ページで確認)。
いずれも「工事箇所数によらず」戸あたりの定額です。手すりを5本つけても7,200円で、本数では増えません。金額としては介護保険のほうが桁違いに大きいので、要支援・要介護の認定があるなら、まず介護保険です。
ただし、みらいエコ住宅2026事業には「外皮に面する開口部を有する1つの居室」で定められた断熱工事をすることが前提という条件があります。バリアフリー工事だけでは使えません。窓の断熱も一緒に検討している場合に、はじめて選択肢に入ります。
工事そのものの公表相場
補助の話とは別に、工事そのものの額を公表されているものだけ並べます。
| 工事 | 公表されている相場(税込) | 出所 |
|---|---|---|
| 手すりの取り付け | 1m以内の直線型 1本8,000〜9,000円 | くらしのマーケット |
| トイレのバリアフリーリフォーム | 1箇所 290,000〜300,000円 | くらしのマーケット |
| 浴室(お風呂)リフォーム | 1216サイズ 460,000〜800,000円 | くらしのマーケット |
| バリアフリーリフォーム全体 | 中心価格帯400〜500万円(事例400件の集計) | ホームプロ |
出典: くらしのマーケット「手すり取り付けの相場」/「バリアフリーリフォームの相場」/「お風呂(浴室)リフォームの相場」/ホームプロ「バリアフリーリフォームの費用と相場」(事例400件の集計)/いずれも2026年9月4日確認・税込。
手すりが1本8,000円台から、というのが効きます。バリアフリーというと大工事に聞こえますが、手すりは1本ずつ足していけます。介護保険の20万円なら、単純計算で20本以上つけられる額です。玄関、廊下、階段、トイレ、浴室。転びそうになった場所から1本ずつ、というやり方ができるのがこの工事の特徴です。
一方で、事例を集計した中心価格帯は400〜500万円。浴室やトイレを丸ごと作り替える工事まで含めると、そこまで上がります。手すり数本の話と、水回りごと作り替える話は、金額が二桁ちがいます。自分がどちらをやろうとしているのかを先に決めてください。
費用を抑えるコツ
バリアフリーリフォームの自己負担を抑えるには、次のような工夫が有効です。
- 複数の制度を併用する:介護保険の住宅改修費(上限20万円)と自治体独自の補助金は、条件を満たせば併用できる場合があります。両方の窓口に確認しましょう。
- 優先順位をつけて段階的に工事する:転倒リスクが高い場所(浴室・階段・玄関の段差など)から着手し、予算に応じて残りを後回しにする方法もあります。
- 相見積もりを取る:同じ工事内容でも業者によって費用の目安に差が出やすいため、2〜3社から見積もりを取って比較するのが基本です。
- ケアマネジャーに相談してから動く:介護保険の対象になる工事内容を事前に把握しておくと、対象外の工事に予算を使ってしまう無駄を避けられます。
- 介護保険と大規模改修を切り分ける:上限20万円を超える部分は自費や別の制度でまかなう前提で計画すると、資金繰りのイメージが立てやすくなります。
出典: 厚生労働省「介護保険における住宅改修」(PDF/2026年9月4日確認)。同資料は「実際の住宅改修費の9割相当額が償還払いで支給される」「支給額は、支給限度基準額(20万円)の9割(18万円)が上限となる」と記載しています。自己負担割合が所得によって変わる点は同資料からは確認できないため、ご自身の割合は市区町村の介護保険窓口で確認してください。
悪質業者の見分け方
バリアフリーリフォームは高齢者世帯を狙った訪問営業やトラブルも報告されている分野です。契約前に次のような特徴がないか確認しましょう。
- 「今すぐ工事しないと危険」など不安をあおる訪問営業:転倒事故のリスクなどを強調してその場で契約を急がせる業者は注意が必要です。
- 「補助金の申請代行費用」として高額な手数料を請求する:介護保険や自治体の申請自体は本来ケアマネジャーや業者の通常業務の範囲でサポートされることが多く、別途高額な代行費用を求められた場合は内容を確認しましょう。
- 見積書の内訳が曖昧:「工事一式」とだけ書かれ、材料費・工賃・諸経費の内訳が示されない見積もりは比較が難しく、後から追加費用を求められるリスクがあります。
- 会社の所在地や施工実績が確認できない:連絡先が携帯電話のみ、事務所の所在地が不明といった業者は避けたほうが無難です。
- 契約を急かす・その場でのサインを求める:クーリングオフの説明をしない、即決を迫るといった対応も要注意のサインです。
少しでも不安を感じたら契約を保留し、ケアマネジャーや地域包括支援センター、自治体の消費生活センターに相談するのも一つの方法です。
介護保険の住宅改修費(上限20万円)
要支援・要介護の認定を受けている方は、介護保険の「住宅改修費」が使えます。手すり設置・段差解消・滑り防止・引き戸への変更・洋式トイレへの交換などが対象で、厚生労働省の資料には「実際の住宅改修費の9割相当額が償還払いで支給される」「支給額は、支給限度基準額(20万円)の9割(18万円)が上限となる」と書かれています。着工前の申請が必須で、ケアマネジャーの関与が必要です。
同資料は対象となる工事を6種類に定めています。ここから外れる工事は、いくら必要でも対象になりません。
- 手すりの取付け
- 段差の解消
- 滑りの防止および移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
- 引き戸等への扉の取替え
- 洋式便器等への便器の取替え
- 上の5つに付帯して必要となる住宅改修
また同資料は、「ひとり生涯20万円まで」だが、「要介護状態区分が重くなったとき(3段階上昇時)、また、転居した場合は再度20万円までの支給限度基準額が設定される」と明記しています。要支援か要介護かで額は変わりません。区分にかかわらず定額です。
出典: 厚生労働省「介護保険における住宅改修」(PDF/2026年9月4日確認)。同資料は「実際の住宅改修費の9割相当額が償還払いで支給される」「支給額は、支給限度基準額(20万円)の9割(18万円)が上限となる」と記載しています。自己負担割合が所得によって変わる点は同資料からは確認できないため、ご自身の割合は市区町村の介護保険窓口で確認してください。
自治体の補助金・その他の制度
介護保険に加えて、市区町村独自のバリアフリー・高齢者住宅改修の補助金を用意している自治体も多くあります。介護保険と併用できる場合もあるため、両方を確認しましょう。また、条件を満たせば所得税の控除(リフォーム減税)の対象になることも。制度は自治体で異なるので、「自治体名+バリアフリー+補助金」で最新情報を調べ、業者にも相談しましょう。リフォーム補助金・助成金の一覧も参考になります。
申請の流れと注意点
介護保険の住宅改修は「工事前の申請」が必須です。流れは、①ケアマネジャーに相談 → ②業者に見積もり → ③事前申請(理由書等)→ ④工事 → ⑤完了報告 → ⑥支給、が一般的。先に工事を始めると対象外になるため順序に注意しましょう。介護保険の住宅改修に対応した業者を選ぶと、書類作成やケアマネとの連携がスムーズです。
リフォームを検討すべきタイミング・サイン
バリアフリーリフォームは「必要になってから」では準備が間に合わないこともあります。次のようなタイミングで早めに検討を始めると、資金計画や制度の申請にも余裕が持てます。
- 入院・退院の前後:退院後の生活動線を見据えて、手すりや段差解消を先に済ませておくケースが多く見られます。
- 自宅内での転倒やヒヤリハットがあった後:浴室や玄関、階段など事故が起きやすい場所から優先的に見直す目安になります。
- 要介護度が変化したとき:要介護度が上がると使える制度の内容や必要な工事範囲が変わることがあるため、ケアマネジャーへの相談タイミングとして適しています。
- 同居家族の介護が始まったとき:本人だけでなく介護をする家族の負担軽減も含めて、動線全体を見直す機会になります。
- 設備の老朽化が見え始めたとき:給排水管や床材の劣化が進む前にバリアフリー化とあわせて改修すると、工事の効率が良くなる場合があります。
20万円は「もらえる額」ではない
ここを取り違えている人が多いところです。介護保険の住宅改修費の20万円は工事費の上限であって、給付される額ではありません。実際に戻るのは自己負担割合を引いた分です。
- 1割負担の人:20万円の工事で18万円が給付(厚労省の通知にも同じ例示があります)
- 2割負担の人:16万円
- 3割負担の人:14万円
負担割合は所得で毎年判定され、負担割合証の適用期間は8月1日から翌年7月31日までです。8月をまたぐ工事は割合が変わることがあるので、着工前に負担割合証を確認してください。
なお上の1割・2割・3割の区分は、所得に応じた自己負担割合にもとづく計算です。厚生労働省の資料そのものは「9割相当額」「上限18万円」と書いており、割合が変わる場合の記載はありません。ご自身の割合は、負担割合証か市区町村の介護保険窓口で確認してください。
出典: 厚生労働省「介護保険における住宅改修」(PDF/2026年9月4日確認)。同資料は「実際の住宅改修費の9割相当額が償還払いで支給される」「支給額は、支給限度基準額(20万円)の9割(18万円)が上限となる」と記載しています。自己負担割合が所得によって変わる点は同資料からは確認できないため、ご自身の割合は市区町村の介護保険窓口で確認してください。
そして工事の前に申請していないと、1円も出ません。厚労省の通知は「住宅改修を行おうとする前に」申請書・見積書・理由書・改修前の状態が分かるものを提出すると定めており、自治体も「申請前に着工された工事は給付の対象外」と明記しています。相模原市はさらに踏み込んで、要介護認定の申請前に着工した場合は改修費用が全額自己負担になるとしています。「先に工事して後から申請」は通りません。
「3段階上がればもう20万円」の、本当の条件
20万円は原則として一人一回ですが、例外が2つあります。ただし条件が誤って伝わっています。
ひとつ目は「介護の必要の程度」が3段階以上上がった場合。ここでいう段階は要介護度そのものではなく、告示が定める別の区分です。重要なのは要支援2と要介護1が同じ段階(第二段階)に束ねられていることです。
- 第六段階=要介護5/第五段階=要介護4/第四段階=要介護3
- 第三段階=要介護2/第二段階=要支援2 または 要介護1/第一段階=要支援1
そのため「要支援1から要介護2になった」場合、要介護度の表記は3つ上がって見えますが、段階としては2つしか上がっていないのでリセットされません。さらにこの例外は生涯1回だけで、しかも段階が上がった時点で工事をしなければ権利は使えません。
ふたつ目は転居した場合。枠は住民票の住所ごとに管理されるので、引っ越せば新しい20万円が使えます。ただし元の住所に戻ると、元の家で使った分の記録が復活します。一時的に子の家へ移して20万円を使い、また戻る、という使い方はできません。
出典:厚生労働省「居宅介護住宅改修費等の支給について(老企第42号)」、住宅改修の種類(厚生省告示第95号)、袖ケ浦市「住宅改修の支給可能算定額の例外」、相模原市「介護保険 住宅改修のQ&A」
よくある質問
Q. 要介護認定がないと使えませんか?
介護保険の住宅改修費は要支援・要介護の認定が前提です。認定がない場合でも、自治体独自の補助金が使えることがあるので確認しましょう。
Q. 介護保険と自治体補助は併用できますか?
併用できる自治体もあります。制度ごとに条件が異なるため、申請前にケアマネジャーや自治体窓口で確認してください。
Q. どんな業者に頼めばいい?
介護保険の住宅改修に対応し、申請サポートの実績がある業者が安心です。複数社に相談し、提案と費用を比較しましょう。
Q. 賃貸住宅でもバリアフリーリフォームはできますか?
賃貸の場合は貸主の許可が前提となります。原状回復が条件になることが多いため、取り外し可能な手すりなど工事内容を事前に相談するのが一般的です。介護保険の対象になるかどうかも、賃貸・持ち家で条件が異なる場合があるのでケアマネジャーに確認しましょう。
Q. 見積もりから工事完了までどのくらいかかりますか?
工事内容や申請の有無によって幅がありますが、手すり設置など小規模な工事であれば見積もりから1〜2週間程度、浴室やトイレの改修で介護保険の申請を伴う場合は1〜2か月程度が目安です。着工前の事前申請が必要な点を踏まえ、余裕を持って計画しましょう。
まとめ
バリアフリーリフォームは、介護保険の住宅改修費(上限20万円)や自治体補助を使えば自己負担を大きく軽減できます。公表相場では手すりの取り付けが1本8,000〜9,000円、浴室リフォーム(1216サイズ)が460,000〜800,000円です。建物の構造や既存設備の状態によって費用は変動するため、複数社の見積もりを比較しながら優先順位をつけて進めるのが安心です。工事前の申請が必須なので順序に注意を。制度はリフォーム補助金で確認できます。まずは無料の一括見積もりで、使える制度と適正価格をあわせて提案してもらいましょう。
出典: くらしのマーケット「手すり取り付けの相場」/「バリアフリーリフォームの相場」/「お風呂(浴室)リフォームの相場」/ホームプロ「バリアフリーリフォームの費用と相場」(事例400件の集計)/いずれも2026年9月4日確認・税込。
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