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FIG.207 — リフォーム全般

基礎のひび割れ補修費用|0.3mm・0.5mmの国の基準と、10年以内なら自己負担にならない条件

公開 2026-09-05|更新 2026-09-05|修繕ナビ編集部

基礎のひび割れを見つけて費用を調べているなら、金額の相場より先に決まることがあります。その補修費用を自分が払うのか、建てた会社が払うのかです。引き渡しから10年以内かどうかで、ここが変わります。

そして「直すべきひび割れか」の目安は、国が幅で線を引いています。0.3mmと0.5mmです。まずこの2つを押さえてから、見積もりを取りにいってください。以下は国土交通省と、国が指定した紛争処理の支援センターの公表資料に基づく整理です。

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国が引いている線は0.3mmと0.5mm

「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」(平成12年建設省告示第1653号)という告示があります。住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)第70条にもとづくもので、不具合と「構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性」との相関関係を定めています。

この告示の「ひび割れ」の項に、基礎の表があります。コンクリートがそのまま見えている基礎(告示の言い方では「構造材による仕上げ」)の場合、こうなっています。

レベルひび割れの状態構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性
1レベル2及びレベル3に該当しないひび割れ低い。
2幅0.3mm以上0.5mm未満のひび割れ(レベル3に該当するものを除く。)一定程度存する。
3①幅0.5mm以上のひび割れ ②さび汁を伴うひび割れ高い。

読み方で外してはいけない点が2つあります。

1つめ。これは「補修が必要な幅」を定めた基準ではありません。告示自身が趣旨として「瑕疵が存する可能性との相関関係について定めるもの」と書いています。0.5mmを超えたから必ず欠陥、0.3mm未満だから必ず問題なし、という意味の数字ではありません。専門家が現地を見て判断するときの、共通の物差しです。

2つめ。「さび汁を伴うひび割れ」は、幅に関係なくレベル3です。さび汁とは、ひび割れから茶色い汁が出てきて周りを汚している状態を指します。なかの鉄筋が錆びていることの表れなので、幅が細くても扱いが重くなります。幅だけ測って安心しないでください。

測るときはクラックスケール(ひび割れ用の定規)を当てるのが確実です。ホームセンターや通販で手に入ります。写真を撮るときは、スケールを当てた状態と、どこの基礎かが分かる引きの写真を、日付が残る形で両方残してください。理由は次の項目に出てきます。

出典:国土交通省 住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準(平成12年建設省告示第1653号)(2026-09-05確認)

引き渡しから10年以内なら、費用は自分持ちとは限らない

ここが費用の話で一番大きいところです。

品確法は、新築住宅について次のように定めています。第94条で、住宅を新築する工事の請負人は、注文者に引き渡した時から十年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の瑕疵について担保の責任を負う。第95条で、新築住宅の売主も、買主に引き渡した時から十年間、同じ責任を負う。そして両方の条文に第2項があり、「前項の規定に反する特約で注文者(買主)に不利なものは、無効とする」と書かれています。契約書に短い保証期間が書いてあっても、それだけでは効きません。

そして基礎は「構造耐力上主要な部分」に含まれます。国土交通省が公表している品確法の概要資料では、木造(在来軸組工法)の戸建住宅の図でも、鉄筋コンクリート造(壁式工法)の共同住宅の図でも、構造耐力上主要な部分の一覧の先頭に基礎が挙げられています。

つまり、引き渡しから10年以内に基礎にひび割れが出た場合、それが構造耐力に影響する瑕疵なら、補修の費用は建てた会社・売った会社の側の責任として扱われる可能性があります。見積もりを取る前に、まず引き渡しの日付を確認してください。

ただし条文には除外があります。担保責任の対象になるのは構造耐力上主要な部分等の瑕疵で、「構造耐力又は雨水の浸入に影響のないもの」は除かれます。だから前の項目の幅とさび汁の話が先に来るわけです。影響があるかどうかを判断する材料として、あの物差しが使われます。

出典:国土交通省 住宅の品質確保の促進等に関する法律の概要(令和4年9月15日改訂版)(2026-09-05確認)

話がまとまらないときの費用は1万円と決まっている

「10年以内だが、施工会社が瑕疵ではないと言っている」。この状態のために、裁判ではない手続きが用意されています。弁護士会などに置かれた住宅紛争審査会(指定住宅紛争処理機関)です。

公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)は、申請手数料を次のように公表しています。

補修工事の見積もりがいくらであれ、争う側の入口の費用は1万円で固定されているということです。これは相場が分からない工事費と違って、先に分かる数字です。

使える住宅には条件があります。この手続きの対象は、新築時に建設住宅性能評価書が交付された住宅(評価住宅)か、住宅瑕疵担保責任保険が付いている住宅(保険付き住宅)です。手元の書類に建設住宅性能評価書か保険付保証明書があるかを探してください。どちらか分からない場合の該当性確認サービスも同センターが用意しています。

申請には証拠書類として、契約書、契約約款、設計図、現場写真などの写しが必要になります。前の項目で「写真を残してください」と書いたのはこのためです。ひび割れは季節でも見え方が変わるので、気づいた時点の写真が後から作れません。

手続きの前に相談だけしたい場合、同センターは電話相談の窓口(03-3556-5147/10時〜17時、土日祝日・年末年始を除く)を設けています。固定電話からは全国どこからでも市内通話料で利用できる、とされています。

出典:住まいるダイヤル(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター)紛争処理手続の利用の仕方(2026-09-05確認)

自費で直すときに、見積書のどこを見るか

10年を過ぎている場合や、構造に影響しないひび割れの場合は自費になります。この補修工事の相場金額は、公的機関の公表資料では確認できませんでした。そのためこの記事では金額を書きません。代わりに、複数の見積もりを比べられる形にする方法を書きます。

基礎のひび割れ補修は、幅と深さで工法が変わります。見積書に工法の名前が書かれていないと、安いほうが手抜きなのか適正なのかが判断できません。次の項目が書かれているかを確認してください。

外壁のひび割れは基礎とは判断の基準が違います。そちらは外壁のひび割れ(クラック)補修の費用と放置リスクにまとめています。

この記事で確認できなかったこと

基礎ひび割れ補修の工事費の相場は書いていません。公的機関が公表している金額を確認できなかったためです。民間業者の料金表を並べる方法もありますが、ひび割れは1本ごとに条件が違い、定価表の数字がそのまま自分の家に当てはまらないので、この記事では採りませんでした。

告示第1653号の表は、基礎のうち「構造材による仕上げ」(コンクリートが見えている基礎)の欄を引用しています。モルタルなどで仕上げられた基礎には別の欄があり、条件が変わります。ご自宅がどれに当たるかは、告示の本文でご確認ください。

10年の担保責任は新築住宅についての規定です。中古で購入した場合や、増改築部分の扱いはこの記事では扱っていません。

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まとめ

基礎のひび割れで最初に確かめるのは、金額ではなく幅・さび汁・引き渡しからの年数の3つです。

国の告示は、コンクリートが見えている基礎について、幅0.3mm以上0.5mm未満なら瑕疵が存する可能性は「一定程度存する」、幅0.5mm以上またはさび汁を伴うなら「高い」としています。これは危険度の判定ではなく、専門家が判断するときの共通の物差しです。

引き渡しから10年以内なら、品確法により、基礎を含む構造耐力上主要な部分の瑕疵について請負人や売主が担保責任を負います。契約書に不利な特約があっても無効です。見積もりを取る前に、引き渡し日と、建設住宅性能評価書または保険付保証明書の有無を確認してください。

話がまとまらない場合は、住宅紛争審査会という裁判以外の手続きがあり、入口の手数料は上に書いたとおり先に分かっています。そして今の状態の写真は、あとから撮り直せません。クラックスケールを当てた写真を、今日のうちに残しておいてください。

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※ 記載の費用はいずれも目安です。建物の状態・地域・時期により変動するため、正確な金額は必ず複数社の見積もりで確認してください。