インターホン交換は自分でできる?|政令に名指しされた「二次側だけ軽微」の境目
インターホンの交換は、機種によって自分でできる場合と、電気工事士でないとできない場合に分かれます。その境目は法令にはっきり書かれていて、「インターホーン」という語が政令に名指しで出てきます。
どちらに当たるかは、玄関の子機ではなく室内側の親機がどこから電気を取っているかで決まります。
費用は依頼先で大きく変わります。相場の確認は、無料でできる複数社見積もりの比較が近道です。
無料でまとめて見積もり ▶政令に「インターホーン」と書かれている条文
電気工事士法施行令 第一条は、資格の要らない「軽微な工事」を6つ挙げています。その第四号がこれです。
「電鈴、インターホーン、火災感知器、豆電球その他これらに類する施設に使用する小型変圧器(二次電圧が三十六ボルト以下のものに限る。)の二次側の配線工事」
読み解くとこうなります。
- インターホンに使う小型変圧器の二次側の配線工事は軽微。つまり資格が要らない。
- ただし二次電圧が36V以下のものに限るという条件つき。
- 書かれているのは二次側だけ。一次側(変圧器より手前、100Vが来ている側)は含まれていません。
したがって100Vの屋内配線に直結するタイプの取り付け・取り外しは、軽微な工事に当たらず、電気工事士の資格が必要になります。
出典:電気工事士法施行令(昭和三十五年政令第二百六十号)第一条 第四号(2026-09-05 確認)
自分の家のインターホンがどちらかを見分ける
親機の電源の取り方で分かれます。
| 電源の取り方 | 資格 | 考え方 |
|---|---|---|
| 乾電池式 | 不要 | 屋内配線をさわらない |
| 電源プラグ式(コンセントに挿す) | 不要 | プラグを抜き差しするだけ |
| 小型変圧器の二次側(36V以下)の配線 | 不要 | 施行令第一条 第四号にそのまま当たる |
| 電源直結式(100Vの配線に直結) | 要 | 第四号は二次側だけ。一次側は含まれない |
見分けがつかないときは、親機を壁から外す前に品番を調べて、メーカーの仕様で電源方式を確認してください。外してから判断しようとすると、直結式だった場合に外した時点で無資格の作業になってしまいます。
資格が要る側だった場合、無資格でやるとどうなるか
電気工事士法 第三条第二項は「第一種電気工事士又は第二種電気工事士免状の交付を受けている者でなければ、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業に従事してはならない」と定めています。
違反したときの定めもあります。第十四条は「第三条第一項、第二項又は第三項の規定に違反した者は、三月以下の拘禁刑又は三万円以下の罰金に処する」としています。資格の要る作業を無資格で行うことは、罰則のある違反です。
費用を抑えるつもりが罰則の対象になるので、直結式だと分かった時点で業者に頼むのが結局は早い、ということになります。
出典:電気工事士法 第三条・第十四条(2026-09-05 確認)
頼むときに確認すること
工事費の相場は、公的機関の公表資料を確認できなかったため書きません。確認する項目だけ挙げます。
- 今ついている機種の電源方式。直結式なら資格が要る作業になります。
- 配線を流用できるか、新しく引くか。玄関子機までの線を替えるかどうかで作業量が変わります。
- 作業する人の資格。免状は携帯が義務(第五条第二項)なので提示を頼めます。
- 本体の代金と工事費が分かれているか。「一式」だけの見積書は比べられません。
- 古い機器の処分費が含まれるか。
コンセントやスイッチの交換は、条件にかかわらず資格が要る側になります。そちらはコンセントの交換に資格は要るかにまとめています。
配線の劣化サイン・交換を検討する時期
資格の有無を確かめる前に、そもそも今の配線を交換すべきかという判断も必要です。次のような症状が出ている場合は、機器の電池切れではなく配線側の劣化が疑われるため、電気工事士による点検を検討する目安になります。
- 呼び出し音や映像が、天候(雨・湿度)によって出たり出なかったりする
- 親機の電源ランプが点滅を繰り返す、または勝手に再起動する
- 壁内配線の被覆が古く、施工年が数十年単位で経過していることが分かっている(築古の戸建てで新築時からの配線を使い続けているなど)
- リフォームや外壁工事の際に、配線を傷つけた・切断した形跡がある
これらは配線そのものの劣化や損傷を示すサインであり、親機を買い替えるだけでは直らないことがあります。二次側配線であっても劣化や損傷の程度によっては軽微な工事の範囲を超えた判断が必要になる場合があるため、迷ったら電気工事士に確認したほうが無難です。
よくある質問
賃貸住宅でも同じ規則が適用されますか
電気工事士法・同施行令は建物の所有形態を区別していないため、賃貸でも持ち家でも、電源方式による資格の要否という基本の考え方は変わりません。ただし賃貸の場合は、法令上の資格とは別に、貸主や管理会社との取り決め(原状回復・設備の変更可否)が絡みます。乾電池式やプラグ式のように資格が不要な範囲であっても、備え付けの設備を勝手に交換すると契約上のトラブルになり得るため、工事の前に貸主・管理会社へ確認しておくことをおすすめします。
マンションの共用部インターホン(オートロック連動など)との違いはありますか
この記事で扱っているのは主に戸建てや専有部内で完結する親機・子機の話です。マンションのエントランスオートロックと連動した共用インターホン設備は、共用部分の設備にあたることが多く、個人の判断で交換できるものではありません。管理規約に基づき管理組合や管理会社を通じた手続きが必要になるのが一般的です。この記事では集合住宅の管理組合手続きそのものは確認できていないため、該当する場合は管理会社に相談してください。
業者に頼むとき、資格証をどう確認すればよいですか
電気工事士には、作業中に免状を携帯する義務があります(電気工事士法)。依頼する際は、電話やメールの見積もり段階で「作業される方は電気工事士の免状をお持ちですか、当日携帯されますか」と聞き、当日は口頭でなく実際に免状を提示してもらうとよいでしょう。会社としての資格の有無ではなく、実際に現場で作業する人が有資格者かどうかを確認する点がポイントです。あわせて、本体代金と工事費が見積もり上で分かれているか、古い機器の処分費が別途かかるかも確認しておくと、後から想定外の請求が増えにくくなります。
見積もりを比較するときに何を見ればよいですか
この記事では工事費の相場そのものは書きませんが、比較の際に価格を左右しやすい要素は挙げられます。既存の電源方式をそのまま流用できるか、それとも配線工事が追加で必要になるか、足場や高所作業が必要な設置場所かどうか、本体のグレード(録画機能・モニター台数など)、処分費や出張費が別立てかどうかといった点です。同じ機種・同じ工事範囲で複数社から見積もりを取り、内訳の項目がそろっているかを比べると、金額だけでは分からない違いが見えてきます。
点検商法など、法令を口実にした不要な請求をどう見分けますか
訪問や電話で「今の配線は危険だから今日中に交換が必要」「法律で交換が義務付けられている」といった強い言い方で契約を急がされる場合は、いったん立ち止まることをおすすめします。この記事で紹介した電気工事士法・同施行令は、あくまで誰が作業してよいかという資格の話であり、特定の時期での交換を義務付ける内容ではありません。その場での即決を求める、他社の見積もりを取らせない、資格証の提示を渋る、といった対応が見られる場合は、いったん保留にして別の業者にも相談することを検討してください。
この記事で確認できなかったこと
インターホン交換の工事費の相場は書いていません。公的機関が公表している金額を確認できなかったためです。
個々の製品がどの電源方式かは、機種ごとに違うためこの記事では特定の品番を挙げていません。メーカーの仕様でご確認ください。
集合住宅では、共用の設備と連動しているインターホンがあり、その場合は管理組合や管理会社の手続きが必要になりますが、規約は物件ごとに違うのでこの記事では扱っていません。
まとめ
インターホンは、電気工事士法施行令 第一条 第四号に名指しで書かれている数少ない設備です。そこで軽微とされているのは小型変圧器(二次電圧36V以下)の二次側の配線工事だけで、一次側は含まれていません。
したがって乾電池式・プラグ式・36V以下の二次側配線なら自分でできますが、100Vに直結する電源直結式は電気工事士の資格が必要です。無資格で従事すると第十四条により三月以下の拘禁刑または三万円以下の罰金です。
外す前に品番から電源方式を確かめてください。外してから気づくと、その時点で作業に入ってしまっています。配線自体の劣化が疑われる場合や、賃貸・集合住宅など建物側の事情がある場合は、資格の有無とは別に、貸主や管理会社、電気工事士への相談を先に済ませておくと後々のトラブルを避けやすくなります。
リフォーム全般の他のガイド
- 戸建て用宅配ボックスの選び方|種類・価格帯・設置と盗難対策戸建て向け宅配ボックスは、数千円の簡易型から工事で固定する本格タイプまで幅があります。簡易型・据置型・工事設置型の価格帯と特…
- 見積書の「アスベスト調査費」は削れない|法律が発注者に費用の負担を求めているアスベストの事前調査は石綿障害予防規則第3条と大気汚染防止法第18条の15が別々に義務づけています。報告は解体80㎡以上・改…
- ブロック塀の高さは2.2メートルまで|施行令第62条の8の七つの基準と、1.2メートルで変わるもの建築基準法施行令第62条の8は補強コンクリートブロック造の塀に七つの基準を課しています。高さ2.2メートル以下はその一号にす…
- ビルトインコンロ・IHの交換費用の相場|ガス・IHの選び方と工事の目安ビルトインコンロ(ガス)・IHクッキングヒーターの交換費用の相場を解説。本体グレード別の目安、ガスとIHの違い、自分で交換で…