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FIG.214 — シロアリ・駆除

屋根裏の動物は種類で法律が変わる|ネズミ三種は自分で駆除でき、アライグマは運ぶだけで罪になる

公開 2026-09-05|更新 2026-09-05|修繕ナビ編集部

天井の上でカサカサ音がする。走り回る音がする。このとき最初に決めるべきなのは、どの業者に頼むかではありません。そこにいるのが何なのかです。

理由は生態の話ではなく、法律の話です。屋根裏に入る動物は、法律上の扱いが四つに分かれます。自分で捕まえていいものと、捕まえた時点で違法になるもの、さらに捕まえたあとの運び方まで別の法律で禁じられているものがあります。この記事では、環境省が公開している施行規則と外来生物法の条文にあたって、その線引きを整理します。

法律で見ると、屋根裏の動物は四つに分かれる

動物法律上の位置自分で捕獲できるか
ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミ鳥獣保護管理法の適用から除外(施行規則第七十八条第一項)捕獲の規制がかからない
ハクビシン・タヌキ・アナグマ・テン・イタチ(オス)狩猟鳥獣(施行規則別表第二)狩猟の期間・免許・登録が必要。それ以外は許可
イタチ(メス)・コウモリ狩猟鳥獣ではないいつでも許可が必要
アライグマ狩猟鳥獣であり、かつ特定外来生物捕獲に加えて運搬・保管・放出が禁止

同じ「屋根裏の害獣」という言葉でくくられていても、この四つは別の話です。ネズミのつもりで仕掛けた罠にイタチが入った、というだけで状況が変わります。

出典:鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則 別表第二・第七十八条(2026-09-05 確認)/特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律施行令 別表第一(2026-09-05 確認)

ネズミ三種だけは、法律上ふつうに駆除できる

施行規則の第七十八条第一項は、法の適用から外れる鳥獣を名指しで挙げています。

「法第八十条第一項の環境省令で定める鳥獣のうち、環境衛生の維持に重大な支障を及ぼすおそれのある鳥獣は、次の表に掲げる鳥獣とする。……ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミ」

表に載っているのはこの三種だけです。この三種については、鳥獣保護管理法の捕獲規制がかかりません。市販の罠や殺鼠剤を自分で使っても、この法律の問題にはならないということです。

ただし注意点があります。「ネズミなら何でも」ではありません。三種以外のネズミ、たとえば南西諸島のトゲネズミの仲間は、同じ施行規則の別の表で希少鳥獣として扱われています。三種の名前が挙がっていることと、ネズミ全般が除外されていることは、別の意味です。

出典:同施行規則 第七十八条第一項(2026-09-05 確認)

イタチは、オスとメスで扱いが違う

狩猟鳥獣を定めた別表第二には、こう書かれています。

「イタチ(ムステラ・イタツィ)(オスに限る。)」「チョウセンイタチ(ムステラ・スィビリカ)(オスに限る。)」

括弧の中が効いています。狩猟鳥獣に入っているのはオスだけで、メスは入っていません。つまり狩猟の期間中に免許と登録をそろえていても、メスのイタチを狩猟として捕ることはできません。捕獲するなら、別に許可が要ります。

そして現実問題として、屋根裏を走っているイタチがオスかメスかを、事前に見分けることはできません。罠を仕掛けて入ってから分かる、という順番になります。だから実務上は「イタチが疑われる時点で、許可の話になる」と考えておくほうが安全です。

ハクビシン・タヌキ・アナグマ・テンには、この性別の条件がついていません。ただし狩猟鳥獣であることに変わりはないので、狩猟の期間・免許・登録のどれかを欠くなら、やはり許可が要ります。

出典:同施行規則 別表第二(狩猟鳥獣)(2026-09-05 確認)

アライグマは、捕まえたあとが問題になる

アライグマは狩猟鳥獣に入っています。しかし同時に、まったく別の法律の対象でもあります。特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)の施行令別表第一に、Procyon lotor(アライグマ)が特定外来生物として挙げられています。カニクイアライグマも同じ表にあります。ハクビシンはこの表には入っていません。

特定外来生物になると、何が変わるのか。条文を見ます。

外来生物法第四条「特定外来生物は、飼養等をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。一 次条第一項の許可を受けてその許可に係る飼養等をする場合 二 次章の規定による防除に係る捕獲等その他主務省令で定めるやむを得ない事由がある場合」

ここでいう「飼養等」は、同法第一条で「飼養、栽培、保管又は運搬」と定義されています。運ぶことが入っています。箱わなに入ったアライグマを車に載せて移動させる行為は、この「運搬」にあたる可能性があります。

逃がすほうも別に禁じられています。

同法第九条「飼養等、輸入又は譲渡し等に係る特定外来生物は、当該特定外来生物に係る特定飼養等施設の外で放出、植栽又はは種(以下「放出等」という。)をしてはならない。」

罰則も軽くありません。第四条に違反した場合は第三十三条第一号で一年以下の拘禁刑もしくは百万円以下の罰金(併科あり)、第九条に違反した場合は第三十二条第三号で三年以下の拘禁刑もしくは三百万円以下の罰金(併科あり)と定められています。

つまり「捕まえて山に放してくる」という、いちばん思いつきやすい処理が、二つの条文に同時に触れうるということです。

逃げ道は第四条のただし書き第二号にあります。防除に係る捕獲等であれば、飼養等の禁止から外れます。自治体が防除の計画を持っているかどうかで、住民が取れる手続きが変わってきます。だからアライグマが疑われる場合、順番として先に来るのは業者ではなく市区町村の窓口です。

出典:e-Gov法令検索 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律 第一条・第四条・第九条・第三十二条・第三十三条(2026-09-05 確認)/同施行令 別表第一(2026-09-05 確認)

種類を決めるのは自分ではないが、材料は自分しか持っていない

音や糞から種類を言い当てる基準を、公的な資料で確認することはできませんでした。だからこの記事では「こういう音ならこの動物」とは書きません。判定は現場を見る人がします。

ただしその判定に使える材料を持っているのは、その家に住んでいる人だけです。業者や自治体に相談する前に、次を記録しておくと話が早く進みます。

この記録は、種類の判定だけでなく、見積もりの比較にも使えます。他の害獣とまとめて相談したい場合の費用の考え方は害獣駆除の費用相場に、コウモリだけ扱いが違う理由はコウモリ駆除と鳥獣保護管理法にまとめています。

進める順番

よくある質問

Q. ネズミだと思って粘着シートを置いたら、別の動物がかかりました。
A. 三種のネズミ以外は鳥獣保護管理法の対象です。その場で自分の判断で処理せず、市区町村の窓口に連絡してください。アライグマの場合は、運ぶこと自体が外来生物法第四条の問題になりえます。

Q. 自分の家の屋根裏なのに、なぜ許可が要るのですか。
A. 鳥獣保護管理法の捕獲規制は、場所ではなく鳥獣を対象にした規制だからです。自分の敷地内であることは、規制の外に出る理由になりません。適用から外れているのは、施行規則で名指しされた三種のネズミなどに限られます。

Q. 業者に頼めば、許可の話は気にしなくていいですか。
A. 見積もりの段階で捕獲を行うのかどうか、行うなら許可はあるのかを確認してください。捕獲しない迴い出しと侵入口の封鎖であれば、捕獲の許可は問題になりません。

この記事で確認できなかったこと

駆除の金額は書いていません。公的機関が公表している価格を確認できなかったためです。侵入口の数と建物の形で作業量が変わるので、定価表がそのまま自分の家に当てはまりません。

音・糞・足跡から種類を特定する基準も、一次資料で確認できなかったので書いていません。自治体ごとの防除の枠組みがあるかどうかも、地域差があるため断定していません。

まとめ

屋根裏の動物は、法律の扱いで四つに分かれます。ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミの三種は鳥獣保護管理法の適用から外れていて、自分で駆除できます。ハクビシン・タヌキ・アナグマ・テン・イタチのオスは狩猟鳥獣、イタチのメスとコウモリは狩猟鳥獣ですらないので、常に許可が要ります。

そしてアライグマは、狩猟鳥獣であることに加えて特定外来生物です。外来生物法第四条は飼養・保管・運搬を、第九条は放出を禁じていて、罰則もそれぞれ定められています。捕まえて山に放す、がいちばん危ない処理になります。

だから最初にやることは、業者を探すことではなく、音と糞を記録して、市区町村の窓口に相談することです。種類が決まらないうちに罠を置くのが、いちばん危険な順番です。

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※ 記載の費用はいずれも目安です。建物の状態・地域・時期により変動するため、正確な金額は必ず複数社の見積もりで確認してください。