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FIG.222 — リフォーム全般

空き家の固定資産税が上がるのは「勧告」から|指導では外れないし、6倍は土地の一部だけ

公開 2026-09-05|更新 2026-09-07|修繕ナビ編集部

「空き家を放置すると固定資産税が6倍になる」。よく見る話ですが、条文に当たるといつ上がるのかとどこが6倍なのかの二つが抜けています。

結論を先に書きます。上がるのは「勧告」を受けてからで、指導の段階では変わりません。そして6分の1の特例が付いているのは土地の一部だけです。この記事では空家等対策の推進に関する特別措置法と地方税法の条文を読んで、その二点をはっきりさせます。

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法律上の「空き家」は、使っていない状態が常態のもの

まず言葉の定義です。

空家法第2条第1項「この法律において『空家等』とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地……をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。」

「使用がなされていないことが常態」なので、たまに帰る実家がすぐ該当するとは限りません。いっぽうで、荷物を置いているだけの家は「使用」と言いにくい側に寄ります。

そのうえで、悪い状態のものに名前が付きます。

同条第2項「『特定空家等』とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。」

倒壊のおそれ、衛生上有害、景観を著しく損なう、その他放置が不適切。この四つが並んでいます。

出典:e-Gov法令検索 空家等対策の推進に関する特別措置法 第2条(2026-09-05 確認)

段階は二本立てになっている

ここが最近変わったところです。悪い状態になりきる前の段階にも、名前と手続きができました。

同法第13条第1項(要旨)市町村長は、適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にあると認めるときは、その空家等(「管理不全空家等」)の所有者等に対し、特定空家等に該当することとなることを防止するために必要な措置をとるよう指導をすることができる。

同条第2項(要旨)指導をしたのになお状態が改善されず、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれが大きいと認めるときは、修繕、立木竹の伐採その他の必要な具体的な措置について勧告することができる。

すでに悪い状態のものには、別の条文が用意されています。

同法第22条第1項(要旨)市町村長は、特定空家等の所有者等に対し、除却、修繕、立木竹の伐採その他必要な措置をとるよう助言又は指導をすることができる。

同条第2項(要旨)助言又は指導をしてもなお改善されないと認めるときは、相当の猶予期限を付けて、必要な措置をとることを勧告することができる。

その先も条文にあります。第3項は勧告に従わないときの命令、第9項は命令が履行されないときの行政代執行法による代執行です。第4項から第8項には、命令の前に意見書を出す機会や、公開による意見の聴取を請求できることが定められています。

段階管理不全空家等特定空家等
入口第13条第1項 指導第22条第1項 助言又は指導
次第13条第2項 勧告第22条第2項 勧告
その先—第22条第3項 命令 → 第9項 代執行

出典:同法 第13条・第22条(2026-09-05 確認)

税が変わるのは「勧告」の一点

固定資産税の話は、空家法ではなく地方税法に書かれています。住宅が建っている土地には課税標準を下げる特例があり、その「住宅用地」の定義にこう書かれています。

地方税法第349条の3の2第1項(要旨)……人の居住の用に供する家屋の敷地の用に供されている土地で政令で定めるもの(……空家等対策の推進に関する特別措置法第13条第2項の規定により所有者等に対し勧告がされた管理不全空家等及び同法第22条第2項の規定により所有者等に対し勧告がされた特定空家等の敷地の用に供されている土地を除く。……「住宅用地」という。)に対して課する固定資産税の課税標準は……当該住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の三分の一の額とする。

括弧の中を読んでください。外れる条件として名指しされているのは「第13条第2項の規定により……勧告がされた」管理不全空家等と「第22条第2項の規定により……勧告がされた」特定空家等です。

つまり、指導では外れません。勧告から外れます。ここが実務上いちばん大事な分かれ目です。

そして下がり幅は一律ではありません。

同条第2項(要旨)住宅用地のうち、面積が200平方メートル以下であるもの(200平方メートルを超えるものは、住居の数で除して得た面積が200平方メートル以下である部分など)を「小規模住宅用地」とし、その課税標準は、価格の六分の一の額とする。

整理すると、200平方メートルまでの部分が6分の1、それを超える部分が3分の1です。だから「6倍になる」は、200平方メートル以下の部分についての言い方にすぎません。広い敷地なら、超える部分は3倍のほうの話になります。

もう一つ。条文が定めているのは課税標準であって、納める税額そのものではありません。この記事では「税額が必ず6倍になる」とは書きません。特例が外れると課税標準の計算がどう変わるか、までが条文から言えることです。

出典:e-Gov法令検索 地方税法 第349条の3の2第1項・第2項(2026-09-05 確認)

だから、動くのは指導が来た時点

手続きの並びを税とつなげると、やることの期限が見えます。

直すのではなく壊すほうを選ぶなら、手続きが別に二つ乗ります。床面積80平方メートル以上の解体は発注者に届出の義務があり、アスベストの事前調査は解体でも改修でも前提になります。

助言・指導 → 勧告 → 命令。条文はこの順で書かれている

固定資産税が上がるのが「勧告」からだとすると、勧告に至るまでに何があるのか。空家等対策の推進に関する特別措置法第22条が、段階を順に定めています。

まず第1項。市町村長は特定空家等の所有者等に対し、「除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置」を「とるよう助言又は指導をすることができる」。次に第2項。助言・指導をしても「なお当該特定空家等の状態が改善されないと認めるとき」に、「相当の猶予期限を付けて」勧告ができます。そして第3項。勧告を受けた者が「正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合」に、命令ができます。

いきなり勧告は来ません。助言・指導という前段があり、そこで改善すれば勧告には進みません。つまり通知が届いた時点で、まだ手は残っています。

そもそも「特定空家等」とは何か

同法第2条第2項が定義しています。「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態」、「著しく衛生上有害となるおそれのある状態」、「適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態」などにあると認められる空家等です。第1項の「空家等」自体は「居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの」と定義されており、空き家であること自体は特定空家等ではありません。状態が加わって初めて対象になります。

よくある質問

Q. 誰も住んでいなければ、すぐ「空家等」ですか。
A. 第2条第1項は「居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの」としています。一時的に空いている状態と、常態とを分ける書き方です。

Q. まだ壊れていない家でも対象になりますか。
A. 2023年の改正で第13条の「管理不全空家等」が入りました。特定空家等になる前の段階で指導・勧告ができ、勧告を受ければ税の特例からも外れます。壊れてからの話ではありません。

Q. 建物を壊せば税は安くなりますか。
A. 逆になることがあります。住宅用地の特例は家屋の敷地に付いているものなので、更地にするとその前提が変わります。解体前に、必ず市町村の資産税の窓口で確認してください。この記事では個別の結論は出せません。

Q. 庭木が伸びているだけでも指導されますか。
A. 条文は措置の例として「立木竹の伐採」を挙げています。建物だけの話ではありません。

この記事で確認できなかったこと

実際の税額は書いていません。評価額と自治体の運用によるためです。都市計画税の扱い、負担調整の仕組み、住宅用地の範囲を定める政令の細目も、この記事では条文の範囲を超えるので触れていません。

各市町村が実際にどの段階でどれだけ指導や勧告を出しているかという運用の実態も、公的な統計を確認できていないため書いていません。自分の家がどの段階にあるかは、市町村の空き家担当と資産税の窓口で確認してください。

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まとめ

空き家の税が変わる引き金は、勧告です。地方税法第349条の3の2第1項は、住宅用地の定義から空家法第13条第2項の勧告を受けた管理不全空家等と第22条第2項の勧告を受けた特定空家等の敷地を除いています。指導では外れません。

下がり幅も一律ではありません。200平方メートルまでが6分の1、それを超える部分が3分の1です。「6倍」は前者の言い換えで、条文が定めているのは課税標準であって税額そのものではありません。

そして2023年の改正で、壊れる前の「管理不全空家等」でも勧告の対象になりました。だから動くべきなのは、指導の通知が来た時点です。そこで直せば、特例は外れません。

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